【感想】穢翼のユースティアをクリアして
穢翼のユースティアを先日クリアしました。
2011年発売なので8年前の作品になりますね。絵は古めで結構特徴的だったのでとっつきにくかったのですかなんだかんだ慣れるました。
音楽もうまく演出していてストーリーは言わずもがなのすばらしさでした。
とにかく世界観が濃かったですね。空に浮かぶ都市。廃れゆく牢獄、崇め奉られ時に命を賭す聖女。3章あたりからはここら辺の世界観に直接触れるような話が多くなり非常に惹かれました。
2019年の今でも十全に楽しめる素晴らしいゲームだと感じました。
以下√感想
フィオネルート
ここはあまり語ることは無いですかね。
世界観の説明、チュートリアルといってもいいような内容だと思います。高潔さや出自に縛られていたフィオネが主人公を通して己の生き方を見つめなおすといった話でした。内容自体は結構ありがちですね。
それにしても個別√がめちゃくちゃ甘々でした。全√に言えることなのですがどちらを選択してもヒロインが幸せになるんですよね。どっちかは多少不幸になってもよかった気がするのですがどうでしょうか。明確にわかりやすく闇を落としてほしかった。ただその分ティア√での喪失感が際立った気がします。狙いはここでしょうか。
そして主人公がかっこいい、最近の勘違い主人公たちとは正反対ですね。全員見習ってくれ!ただこれ自体も伏線になるんですよね。立ち回りのうまい主人公。まあこの手のは最近増えてきましたね・
エリスルート
初っ端はかなり悪いイメージがありました。周りの人にはバチバチ当たるしカイムへの依存も病的。フィオネの娼婦批判もそうなのですが他のゲームで似たようなことをやったら本当に嫌いになる人もいると思います。ただこのゲームは本当にバックボーンがしっかりしてるんですね。こういうめんどくさい系のヒロインは苦手だったのですがルート後は受け入れることができました。
ただそこまで印象に残ってる話はありませんね。カイムとエリス、不触金鎖と風錆を並べてるんでしょうがもう少し物質的なかかわりが欲しかった。エリスが風錆に情報を売りに行く下りもよくわからなかったですし。
ここまでは正直前座のような感じがありますね。序盤から徐々にダークな雰囲気に寄せてきています。次からが本番等いう感じ
コレット、ラヴィリアルート
ここからいよいよ都市の謎が絡まりあってきます。セカイ系とでもいうのでしょうか。話の規模は大きくなりますがうまくまとまった話です。
聖女という存在の真実、徐々にこの都市の闇が明かされていきます。
自分の中の信仰を通し続けるコレットの覚悟に惹かれました。一番お気に入りのキャラです。二番目に好きなのも自分の覚悟のためにすべてを捨てたルキウスです。この二人確かに狂ってる、とか周りが見えていないとかそういう評価もできると思うのですが、ただ選んだ道の先が欠けていた、それだけだと思うんですね。コレットは聖女になってしまったしルキウスは人の命を手にかけた、その時からもう後に引くことは精神的な死と同義です。
作中で見ればこの二人は最も自分というものを強く持ち続けて生きていたキャラクターだと思います。にもかかわらず選んだ道が不条理に彩られていた。皮肉的ではありますが彼らを思わずにはいられませんでした。
ただコレットは宗教家ですしルキウスは狂ってるともいえるので二人は人気なさそうですね・・・悲しい
特に印象的なシーンはやはり牢獄が崩壊するところですかね。一番最初に流れた「仕方のないことが多すぎる」というセリフを何度も思い出していました。メルトが死ぬのはすなわち日常の死と同義でしょう。残酷なシーンはここまでもところどころありましたがここが一番「不条理」をあらわしていたシーンだと思います。
そして長らくすれ違っていたラヴィリアとコレットの和解。二人の話はここで完結してますね。カイムが受け入れるかどうかで分岐しますが彼がいようがいまいが何も変わらないでしょう。というかカイムがどちらかを選んだほうが彼女らの間に亀裂が入りそう。
ただおまけのハーレムルートお前は優しすぎた・・泣いたし抜きました。これを正史に、トゥルーエンドにしよう。おまけやその後のルートで出てくるコレットが可愛すぎます。なんでしょうあの不器用な感じ、あれだけの過去があるのでいやな気分にもならないしただただ可愛いです。
ラヴィリアは可愛いし良い子だったんですがコレットに比べて思いが弱いですよね。まあ強い人間か弱い人間を選ぶかは人の好みでしょうか。
リシアルート
一番話が進むルートです。面白さという点ではこの章が一番でした。
国を裏で牛耳っていた執政官、リシアに現実を見せて立ち向かわせるお話。まあ正直プレイしてる最中はリシアのこと結局操ってるやんと思ってたけど最終的にはカイムが職務を放棄してリシアに気付かせてあげるんですね。さすがっす
リシアはなんでしょう、単純で無垢で、普通に好感が持てました。性格は無難って感じですね、一番人気が出そう。てか他の女が基本的にやべえ
ヴァリアスを説き伏せるシーンは名シーンの一つです。言葉一つ一つに覚悟が籠っていて胸が熱くなりました。また花冠の下りも泣けますね・・・最後の最後の最後でそれはずるいよ国王さん。。
ここのルート分岐は正直ちょっと疑問に思いました。カイムが受け入れる√ではあれだけ辛そうだったのにメインルートでは父代わりのヴァリアスもいない中あの働きですからね。彼女が荷を下ろす場所はどこなのでしょうか。まあ寝取られても気分悪いけど。
メインルートでの覚醒はものすごいですね。ルキウスに後れを取らない人としての強さを手に入れてます。逆に弱さを一切見せないリシアが不安でもありますが。
ティアルート
ティアのルートではあるのですが話としてメインは主人公でしょうか、それともルキウス?とにかく色々な話が錯綜しながらもうまく着地したエンディングでした。
まとめるためにサブキャラ一人ずつに焦点を当てて軽く感想を書くことにします。
彼女の強さが現れましたね。真実を知っているプレイヤーからすると滑稽には映りますが。ただ自分の信じたもののため腹をくくりあそこまで危険な真似をするのはさすがの一言です。彼女の強さ故の過ちはきっとラヴィリアが支えてくれるでしょう。
ジークと組み上手く立ち回ったのが今作での彼女の成長でしょうか。
リシア
ある意味この中で一番成長したキャラクターでしょう。まさか自分の首をささげることを口にするまでとは思いませんでした。ほんと、もうだれでもいいんで彼女を支えてやってください。
システィナ
切なさランキング当ゲーム1位ですね。好きの一言も口に出せないって。こんな切ない話初めてです。そして当然最後に待っているのは死。あそこで好きと言わない彼女の強さに敬服です。
おまけの慎ましさも泣けてきます。
エリス
物質的には一番動きが少なくて、ここまで彼女は本当に先に進めるのかな?と疑問に思っていました。しかし一番先に進んでいたのは彼女でしたね。
もう一縷の悩みも抱えず先を歩く姿はカイムを変えます。昔から一緒にいた人間に置いていかれるということがやはり効いたのでしょう。
あんまり見せ場なかったですね。正直。システィナに向かっていったのが見せ場でしょうか。まあ他のヒロインが遥か先に進んでる中で未だ悩みを抱える彼女は対照的に映りました。
ジーク
最後にもう一問答カイムとしてほしかったのが正直なところですね。まああの流れだとカイムはまたジークの相棒として働いていくのでしょうが。
ただあのエンディングの跡を書きすぎてもユースティアへの思いが徐々に薄れていってしまうだけなのであそこできっぱり終わるのは英断でしょう。きれいな幕切れです。
ユースティア
彼女が求めていたのは、平穏な日常。ただそれだけ。それなのに彼女がすべての犠牲となって世界を救う。最後らへんは切なすぎて感覚がマヒしそうですね。カイムだけでもいいので彼女のことを思い続けて行ってほしいそれだけです。
さて本題に戻ります。
これまでヒロインに散々自分で考えて生きろと説教をしてきた主人公が気づいたらルキウスの言葉に乗るだけの楽な道を選んでいたというのは皮肉的ですね。
そしていよいよルキウスは都市を浮かべ続けるために都市を「開放」します。感情的にルキウスをののしるカイム。ただルキウスは何も間違っていない。それどころか自らの浅はかさを指摘される。そしてエリスに諭されティアを迎えに行くという流れ。
カイムは結局妥当性を捨て、自分の愛する者のために周りに愚かと評価されようがティアを救うことを選びます。これでようやくルキウスの隣に立てるようになったわけですね。「生きる意味とは・・・道を選ぶこと」ルキウスのこの言葉にこの作品は尽きるといってもいいでしょう。自ら道を選ぶ、最後になって後悔しないような道を。胸に留めよう。。
どちらが間違いということはありません。カイムも正しくルキウスも正しい。それが相反しているのがただただ切ない。一瞬重なりましたが、それは儚いエンディングへの布石でした。
エンディングは賛否両論だそうですが、これ以外にはないと思います。ここまで来て手放しの大団円では報われるものも報われないでしょう。命を落とした者もたくさんいますし。ただトゥルー以外の√で全く毒気がなかったのがいけないと思います。エリスを選んだら腐食金鎖が崩壊するとかコレット選んだらラヴィが死ぬとかそういう毒を配置していてくれればもっとまとまりのある作品になったんじゃないかな、と唯一残念に思います。あまあま成分はおまけで保管すればいいしね。
ただ終わり方は完璧だと思います。本当に良かった。カイムとジークが仲直りするだけのFDください。以上です。
そういえばvita版も出てるらしいですね見かけたことないけど。
1,2章は退屈かもしれませんが3章から引き込まれるのでぜひプレイしてみてください。ちなみにpc版は中古で3000円くらいでした。貧乏学生には助かる。
てかおまけのティア編性格悪すぎませんか?wサディストですか?自分の創造と分かりながらセックスするとか哀れすぎて直視できませんでした。すまん。
にしてもギャグパートがどれも面白かったです。この世界観ゆえの気もしますが。オーガストの作品は他にプレイしたことがないので有名な大図書館の羊飼いでもやろうかなと思っています。楽しみ