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【レビュー・評価】歴史に残る名作。十三機兵防衛圏をあなたにお勧めしたい!

 今回レビューするのはPS4で発売されている十三機兵防衛圏。

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このゲームの要素を取り出すとしたら「ロボット」「SF」「昭和」「ジュブナイル」「2D」「物語重視のアドベンチャー」という言葉が挙げられる。正直これらの要素は10~20代の若いプレイヤーにとっては少しとっつきにくい印象を受けるかもしれない。パッとプレイ画像を見ただけだと、あまり興味がそそられないと思った人も多いだろう。

 だが、待ってほしい。

 確かに自分も最初は疑心暗鬼であった。好きな世界観はウォッチドッグスのような近未来で、ロボットものなんてエウレカセブンコードギアス以来やってない。そんな自分の守備範囲外の作品であったものの、確かにこの作品は最高に面白かったと胸を張って言える。この作品はうわべの好き嫌いなんて超越する、それだけの面白さが詰まっているのだ。

 というわけでこれから未プレイの人達に向けて、なぜ十三機兵防衛圏が面白いのかを、どうにか説明していきたいと思う。ネタバレは避けるものの、魅力を説明するために冒頭の軽い情報などは出そうと思うので完全ネタバレ厳禁な方はお気をつけて。

 

 

 まずこの作品は3つのパートで構成されている。機兵を使って戦闘を行う崩壊編(バトル)、物語を読み進める追想編(アドベンチャー)、そして作品全体のTIPSや物語の流れを再確認する究明編(アーカイブ)である。

 

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 このゲームのメインは追想編でありプレイ時間のおよそ8割以上はこのアドベンチャーモードによって割かれている。ここでプレイヤーは2Dのフィールドでキャラクターを操作し、人々に話しかけたり周りを調べることで物語が徐々に進んでいく。

 

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実際のプレイ画面



 このアドベンチャーモードの特徴は、13人による群像劇でありながら時系列もバラバラであるということだ。物語は10分程度の断片的なエピソードに分かれており、私たちプレイヤーは13人のキャラクターから1人を選んで少しずつ読み進めていくことができる。「このキャラ好みだし進めよう」「さっき出てきたこいつは何だったんだ?」といった風にプレイヤーは好きな風にテンポよく断片を集めていくうちに、徐々にその壮大な全貌が見えてくるという仕組みだ。

 13人の物語、そして時間が次々と繋がっていく様は圧巻で、驚きを通り越して呆然としてしまうほどだ。3~4人の群像劇ならゲームや小説でもよく目にする。それでも1つの出来事に対して複数の視点から体験するというところがやっとだが、この作品では13人がそれぞれ別の目的をもって全く別のアクションを取る。話が重なっていないので端から端まで全て楽しめる、お得なゲームなのだ。

 さらに物語の大きな枠組みはSFであるものの、これら13つの物語のジャンルは多種多様で大きく異なっている。恋愛もの、タイムトラベル、記憶喪失ものetc...。様々なジャンルを自分の好きなようにプレイしていけるので30時間近いアドベンチャーパートにもなかなか飽きがくることはない。大胆な伏線も見どころで、開始から最後まで何度も「うぇっ!?」と声を出してしまうような場面が目白押しだ。

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記憶喪失から始まる関ケ原

 

 問題点があるとすればその複雑な構成による難解さではあるものの、そこで究明編(アーカイブ)である。イベントは時系列順にまとめられ、登場人物やオブジェクトについては短く詳細に記されている。かなりうまくまとまっていて、洋ゲーの長いジャーナルが読めない自分でも、気になったところを何度も究明編に入って読み直していた。このUIも非常にうまくできていて、さっと探してさっと流し見するだけで物語のつながりを一目で再確認することができる。

 

 

 ここまで語ったストーリーがこのゲームにおいて最も重要な部分であるのは確かだが、他の要素もすべて1級品である。1つ1つ詳細に語っていてはキリがないので、軽くではあるが触れていこうと思う。

 

グラフィック

ヴァニラウェアの十八番である美しく趣のあるグラフィック。特に明暗の表現が美しくて目を引かれるようなシーンが山のようにある。昭和という舞台もあって古臭さも感じてしまうが正直昭和っぽさはほぼない。まんま2020年と言われてもわからないくらいなのでそこの心配はしないでほしい。あとキャラクターがみんな可愛い。かっこいい。シンプルに好き。

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後ろのモブまで可愛い



 

キャラクター

ヤンキー、ヤンデレ、インテリメガネ等キャラクターがどれも個性的でありながら各々の物語を体験することで全員に愛着がわくようになる。

ちなみにほぼ全キャラクターにカップリングがあり、このロマンスが各々の物語の一部分を占めている。これがまためちゃくちゃ尊くて良いので是非本編を!

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今作一押しのユキちゃん

 

サウンド

ボイスは丁寧に作られており、13人の主人公たちはどれも声がぴったりで全く違和感がない。起用されているのはどれも有名声優ばかりで演技も折り紙付きだ。もちろん全編フルボイス。

BGM も素晴らしい出来。主張が強くなく、ヴァニラウェアの独特な世界観をうまく拡張している。実はマクロスをオマージュしたシーンがあり、筆者のお気に入り。色んな作品のオマージュがところどころに見えるのがこの作品の魅力の1つである。

UI

無駄のない、整然としたUI。必要な情報が必要最低限で即座に提示される。このUIだけで記事が出るんじゃないか?というほどに洗練されていて、レスポンスも早くストレスを感じるようなことは微塵もなかった。

 

バトル

見下ろし方のRTSのような画面で迫りくる怪獣を相手にタワーディフェンスを行うゲームモードになっている。正直プレイ画面を見た時はいまいちに感じるかもしれないが、プレイしてみると前述したサウンドやUIによりしっかり作られている。

 

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さらにこれは全体の1~2割程度しか占めず、アドベンチャーモード同様に1戦闘が数分もかからないので、むしろこのテンポの良さがアドベンチャーモードとうまく作用してリフレッシュすることができる。物語読むのに疲れたな~なんてときに怪獣にミサイルをぶち込んですっきりできるわけだ。

ちなみに難易度は低めに設定されているので、スリルが欲しい人は難易度を上げることをお勧めする。

 

 この作品はとっつきにくいような要素を抱えているものの、その中にあるのはアドベンチャーゲームの1つの完成形だ。ニッチなゲームと言われがちではあるが、物語を楽しむことに否定的でない人なら誰でも楽しめるような、それだけのクオリティのある作品になっている。これだけのゲームはこれからそう出てくることは無いだろう。是非歴史に残る名作を手に取ってみてはいかがだろうか。

 

十三機兵防衛圏 - PS4

十三機兵防衛圏 - PS4

  • 発売日: 2019/11/28
  • メディア: Video Game