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【感想/レビュー】 AIソムニウムファイルがめちゃんこ面白かったという話

「殺したのはAIが欲しかったから」

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コザキユースケ氏のキャラクターが最高

 今回はAIソムニウムファイルのレビューになります。infinityシリーズや極限脱出シリーズを手掛けた打越氏の新作。前半はネタバレなしの紹介、後半からネタバレ有りで感想を言っていこうと思うのでご注意を。

まずはレビューから。

 一番重要なストーリーの出来は非常に良かったです。伏線の回収は美しく、メインのトリックも非常に納得がいきました。大きな仕掛けはなかったものの謎とトリックが上手く絡まり合っていて、全ての謎が解けた後の爽快感は別格でした。ただ本筋以外の要素は人を選ぶかもしれません。特にギャグや下ネタが多く、銃撃戦のシーンや人の命がかかっているようなシーンでもギャグを連発します。(さすがに本筋のトリックに絡む部分は真面目ですが)もちろん適度なギャグは良いスパイスになりますが、この場合余りに量が多すぎて正直、興が削がれたという印象が拭えません。ただ付け加えておくとギャグ自身は面白いものが多く(大分子供寄りのノリですが)笑えるし本筋も素晴らしいのでこの二つのかみ合わなさを許容できるのであれば楽しめると思います。プレイ時間はサクサクとプレイして20時間ほど、長すぎても複雑になるのでこれくらいでいいかなと思います。

 キャラも打越氏の作品ということもあってイロモノぞろいではありますがプレイ後は大体のキャラが好きになりました。キャラ別の個別ルートも3つあり掘り下げも十分です。キャラ同士の掛け合いが面白くゲームプレイを非常ににぎやかしてくれます。

 ゲームプレイは主に捜査パートとソムニウムパートに分かれて進行します。捜査パートは逆転裁判のような従来のADVのようにオブジェクトをクリックして調べる方式です。ソムニウムパートは今作独自のシステムで人物の頭の中、夢に潜り込み様々なアクションでその人物のメンタルロックを解き、隠された真実を解き明かす、というものになります。ただこれはあまり面白くはなかったです。人物の夢の中ということもあり現実ではありえないようなことが起こります。(ゲームの世界に紛れ込んだり)これ自体は面白かったのですが、こちらからするアクションさえもめちゃくちゃなものを求められます。例えば液体があったとすると(A舐めろB飛び込めC手を突っ込め)このような選択肢を求められます。しかしゲーム内にヒントはほぼなく総当たりで選択していくしかありません。(ほんの一部では法則性がある場合もありますが)つまり推理などの頭を使う必要もなく選択肢をつぶしながら何度かリトライして進むしかないのです。まあここにもギャグ要素が詰め込まれていて笑えたりはするのですがいまいち解き明かしていく感覚が少なく、謎を解き明かすうえでもどかしい気持ちになりました。

 

 まとめると今作はガチガチのミステリーではなく、ラノベやアニメのような軽ーいノリもふんだんに込められた探偵ものです。そこにさえ注意すれば胸を張ってお勧めできる素晴らしいゲームです。switch ps4 steamで発売されているのでぜひお試しを!

 

以下ネタバレ有り感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 さすが打越さん、って感じでしたね。トリック周りは一切の疑問の余地なしで納得できました。ありとあらゆるものが伏線になっていて、全てがつながっていく感覚はやっぱり最高ですね。

 ただやっぱり軽いノリとの噛み合わなさはどうかなあと思いました。例えば最後の全員集合で踊って終わり!っていうエンディングも単体なら割と好きなのですが今作に至ってはしんみり終わってもいいのかなという気もします。今作のメッセージをまとめると家族愛や友情みたいなわかりやすいものになるのでしょうが個人的にはもっとシリアスな部分にも踏み込んで欲しかったという思いがあります。

 特に期待していたのはAIとI(自我)についてです。人格が入れ替わるというストーリーに持って来いですしここを掘り下げていくてくれたらもっとまとまりがあったのかなあなんて気もしています。。とはいえテンポが良くて、なんだかなあと思いながらも3日で一気にプレイしてしまいました。テンポの良さはこの作品の1つの目玉といえるかもしれません。eyeだけに

 あと、「虹ノ矢ハ折レナイ」大好きです。陳腐さが逆に心地よいというか、すごいあったまる曲でした。グランドフィナーレも大好き。

ざっくりとルート別感想

イリスルート

 イリスの妄想を信じて付き合うルート。ふとんすいとんあせとんちゃん。こういうオカルティックなルート、あまり嫌いではないのですが伊達の変わり身がひどくて違和感が止まらなかったw明らかに間違ってるとは分かっていても大好きな主の命令を聞いてあげる隠れアイボゥ萌えルートでもありました。アイボゥいいやつ。廃工場で突然倒れたのは脳腫瘍なんでしょうね。そこまで酷かったらネットアイドルなんてやってる場合じゃ・・・という気もしましたが。どうしようもない悲しいルート。

応太ルート

 ・・・ギクッ!!僕の胸に何かが刺さったルートです。ママごめん・・。応太が改心するルート。上とも合わせあんまり本筋に絡まない話ではあったけど割と好きです。今作のテーマの一つでもある「家族愛」が前面に出してきたって感じでしょうか。割と話は陳腐ですが、アイボゥが伊達の直観も悪くないな。みたいな感じで感心するシーンがお気に入りでした。とはいえ沖浦が死んだ時点でイリスの中身が死んで、イリスの中に世島のおっちゃんがいるという悲しみも背負っているという。頑張れ応太!ネットではボコボコに叩かれているみたいだけど俺は応援しているよ!一緒に頑張ろう

みずきルート

 ツンデレ最高。みずきかわいいよみずき。あとやっぱ一流の声優さんって違うなと感じました。演じているのは黒沢ともよさん。声優にあまり詳しくない僕でも聞いたことはある。ツンデレの建前と本音をうまく演じているなあとしきりに感動していました。

 みずき(チート)と協力して世島inサイトを倒すルート。イリスの中身は死んでいるものの一応黒幕は倒しているのでそれなりに未来はありそうなルート。みずきをプレイして伊達を助けたり、神社のお祈りが実は互いのことを思っていたり、約束のラーメンを果たしたりベタだけど暖かいお話でした。メンタルロックや、殺害現場に少女がいたり、ラーメンの約束をしていたり某逆転裁判をパロっていたのかなと今更ながら。

全滅ルート

 サイトが第2サイクロ事件を完遂して体を取り戻すネタバレルート。伏線回収はまさに圧巻でした。いちいち伏線の部分も教えてくれるので頭の悪い自分も非常に納得がいきます。ただ1つ文句を言うなら全滅編、解決編ともに8割進んだところでお預けを喰らって他ルートの攻略をしなければならないところ。どうしてもルートを何度もわたることになるのでこんがらがるし、やはり1ルート一気にクリアしたほうが爽快感はあるなと思いました。

解決ルート

 サイトを倒してイリス、瞳を救うルート。最後の救出シーンもこれまたいろいろ突っ込みたいところはあったけど良かったです。猛馬がめちゃくちゃかっこよかったのが笑えるなあw一番好きなキャラかもしれません。伊達の「お前なんか嫌いだ、自爆していなくなれ」みたいなセリフも泣けましたね。自爆の前フリはちょっと雑だったけどやっぱりベタなのに弱い;;あと気になるのはピュータでしょうか。沖浦とソッチの関係にあったのは間違いないのですが、第1の事件が発生した時点で沖浦の中身は死んでいるわけで・・・サイトに踊らされて犯罪に加担してしまうという・・・確かに悪役ではあるのですがどうしても嫌いになれません。ピュータ・・・およよ・・・

 そしてエピローグ、先も言った通りちぐはぐではありますがこういったゴリゴリの大団円もなんだかんだ幸せ感があって好きです。みんな幸せそうで良かった・・・さらに先も気になる。伊達と瞳が結婚したらみずきとイリスも姉妹になってめちゃくちゃやかましそう。伊達と瞳がちょっと他人行儀なのもいじらしくて幸せを願ってしまいます。唯一まゆみはどうしようも無い感がありましたね。まあでもきっと応太が向き合っていくのでしょう。

 

 ともあれ今はADVというジャンルが廃れてきているので本当に頑張ってほしいです。これくらいお金をかけてadvを作れるのは逆転裁判ダンガンロンパくらいでしょうか。Life is strangeやWalkingDeadだったり海外では割と流行ってる(主にインディー)もののやはり日本のアドベンチャーのほうが落ち着きます。LiSとか最高に面白かったけど異世界感が強かったなあ。エロゲでもミステリはかなり減ってきていますし、やはり3Dのほうが画が全然違います。エンディングでアイボゥがこれからもよろしくね!的なことを言っていたのでぜひ次回作はみずきちゃんが主人公の推理物をprprpr

 

 最後にちょっと突っ込みどころについて

 本筋はしっかりと作りこまれていたが細部が割とやっつけな感じがしたので。

夫が死んでからの真津下家の収入源→まゆみが元気だったころに貯めていた財産で食いつないでるらしい(公式インタビューより)

アイボゥの自爆→世界中に散らばってて結局助かった、(母の力は偉大)何事もなく助かるんだったらあの時の後悔は何だったんだと。確かにアイボゥが復活してくれないと締まらないがにしてもリターンにリスクがないとただのご都合主義になってしまう。

イリスの寿命(ステージ4、余命1か月)→沖浦からダンスを禁止されているという伏線もあったが、寿命間近ならさすがに仕事やめて療養するべきでは・・・。治療法があったとはいえ3か月で元気になってるのも雑だなあと。

みずきルートの世島(ジジイin息子)「息子を殺すことになるとはな(的なセリフ)」→中身は犀人だったはずなので自分を殺すことになるとは・・・になるはずだが。そもそもあそこで殺してしまったら自分の体に戻るという長ったらしい計画もぱあになるが、まあ危機的状況なのでやむ無しではある。

89号はボスが何とかしてくれて前科もあるけど幸せに瞳と暮らしました!ってのも

沖浦が愛華の死体を氷漬けにしておいた理由は?→復讐の時に世島を脅す材料として保存しておこうとしたのだろうか。にしても悪趣味というか・・・少し説明が欲しかった。

伊達が記憶をルートを超えて保持している理由→これもやっつけ

サイトが殺人において様々な仕掛けを施した理由→目立つようにしたのは伊達を煽るためとして(これまた回りくどくて突っ込みたいところではある)、みずきを呼んだ理由とかいろいろあった気がするけど忘れて下田。

忘れたところも多いけどこういう突っ込みどころが多かったのは少し残念。僕の疑念に関する考察や新たな疑問があればぜひコメントをください。

 

2020年には打越氏がシナリオで「デスマーチクラブ」という作品が出るそう。小高氏も参加しているらしい。V3で煮え湯を飲まされたので因縁はありますがwとはいえデスゲームがテーマということでこれは楽しみで待ちきれない・・・!