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【感想】素晴らしき日々HD版の感想-

 先日、素晴らしき日々~不連続存在~をようやっとクリアしました。サクラノ詩素晴らしき日々と逆の流れでプレイすることにはなったものの、やはり面白かったです。こういう哲学をうまく絡ませたシナリオはさすがすかぢ氏。プレイ順番に関してはやはり、素晴らしき日々サクラノ詩が正解も正解(そりゃそうだ)でした。シナリオ的には関わりないとはいえメッセージが一貫していて、論考における「梯子を上り、捨てる」という行為、(ちょー要約すると難しい哲学の問題をクリアして、そのうえでそれを切り捨て日常生活を生きるのがより良い生であるという話)がそのまますば日々→サク詩の流れになっています。そりゃサク詩だけやってもまともな理解はできんよと。是非是非これからプレイする方はすば日々→サク詩で、ってまあ未プレイ勢が感想見に来ることはあまりないのかな、と横道もほどほどに。考察できるほどの理解は微塵もないのでさらっとした感想になりますがご容赦ください。

 シナリオ以外の部分から触れていくと、まずは音楽。エロゲプレイヤーなら知らない人はいないであろうOPの「空気力学少女と少年の詩」をはじめ作中のBGMも「夜の向日葵」や「なぜ日は傾くのか」など良曲ぞろい。絵も綺麗でサク詩よりも安定していた気がします。演出が割と凝ってる部分も引き込まれる要因の一つだったと思います。ちょいホラーも有ったりして面喰った。シナリオの雑感としてはこっちもサク詩と変わらずエンジンかかるの遅いな~とは思ったけど電波チックな1~3章からネタバレの4~6章への引き込まれ方・爽快感は格別でした。まあ話としては、似たようなトリックのものは多いですし、細かいところが全部脳内で補正されるとかいうとんでものせいで興は削がれましたが、メッセージ性は相変わらず強く、サクラノ詩と12トップで考えさせられる作品になりました。

Down the Rabbit Hole Ⅰ・Ⅱ

 直訳すると兎の穴へ落ちる。アリスの童話から転じて、日常からの逸脱を意味するらしい。新・由岐視点のお話。Ⅰでは幸せな生活が続くものの実はざくろの夢(?)だったよというお話。ここらへんの解釈は終の空Ⅱでも言われていたようにいろいろな仮定が出来そう。ようするにわからん!Ⅱではこの物語全体における事件を新・由岐が体験していく。Ⅰでは百合萌え~って感じで割と退屈だったがいきなりⅡから引き込まれた。とはいえ謎だらけ。まあ由岐の立場的にもどうしようもないところではありますね。

 

Its my own invitation

 卓司が救世主となり、人々を救う話。救済とは。タイトルを直訳するとこれは私自身の考えだ。って感じでしょうか。ようわからん。すば日々一つ目の壁ともいえる章。とはいえ耐性さえあればなかなかに面白かった。不可解なのは相も変わらずですが。机(ざくろ)や黒リルルとの聖戦、ホm描写思い出せばてんこ盛りだったなあw話の中心が悠木、由岐、卓司にあることが徐々に分かってくる。そしてこのルートといえば外せないのは希実香!なかなかに渋いキャラクターでしたね。サク詩における長山加奈のようなサブといえど強く印象に残るキャラクター。

 論考的に言えばある種考えに沿ってるといえるんでしょうか。希実香との屋上で牛が踊っていたりどんどん宇宙に近づいて行ったり、まあ無茶苦茶やるわけですがあれは世界の限界、思考の限界への挑戦なのでしょう。そして結局は世界の内側に価値がないと決め、その外側に向かって空に還ろうとする。世界を満たすものは外側にある、これがこのルートでの結論でしょうか。まあやってることが明らかに間違っていますけどね。これも親の血か。

 あとふたなりがちょっといいかなって思ってしまったゆるすまじすかぢ

Looking-glass Insects

 ざくろ視点。いじめに立ち向かったり逃げたりする話。この章のHappyEndはサク詩のZYPRESSENルートと同じでこの物語をまとめ上げた一つの形だと感じました。この章で強調されるのは「意志」について。Happyはお気に入り、Happyはね。Happyを先にプレイしたせいでNormalをクリアするのに2週間ほどかかりました(涙)。シラノドベルジュラックの台詞が最高にかっこいい。「それは、私の心意気だ!」。イケメン卓司(由岐)に惹かれていく少女やシラノドベルジュラック、そしていじめとの戦いなど見どころが多くて楽しかった印象強めです(Happy)。ざく希実、尊い。唯一泣いたルートかもしれない。尊さのあまり。そしてここにおいて彼女らは「素晴らしき日々」を手に入れることに成功するわけです。イイハナシダナー

 Normalも最後に「Cest mon panache!」と叫んでいてある種の意思ではあるけれど、結果からわかるように間違った意思だったと思う。Happyの希実香を助けたいという意志とは違い、Normalでは生きる意味を失った挙句、それを世界の救済などというオカルトに結び付けて意志で無理やり上書きしてるような感じを受けました。

 まあ可哀そうではあるんだけどね・・

Jabberwocky

  皆守視点。ネタバレ多めの章であまり語ることもないかな。

Which Dreamed It

  羽咲ちゃん視点。ここもネタバレパート。前章の補足といった部分が大きかった印象。実は体の本体は皆守だったというのは驚き。木村が結構いいやつだったりする。僕も木村みたいな童貞になりたいです。

 あとこの章では音無彩名の存在にも触れてました。個人的には集団的無意識なのかなあと思っていたけれど、考察を見ているとヨグソトース(クトゥルフ神話の神)と捉えている人が多くて僕は考えるのをやめた。

JabberwockyⅡ

 皆守の過去編。皆守、羽咲、由岐の3人での温かい生活から由岐が死に、卓司に体が乗っ取られるまでのお話。この物語の一番重要なメッセージ「幸福に生きよ!」について語られるシーンが見どころかなと。

「人は先に進む…その歩みを止めることは無い
たった一つの思いを心に刻み込まれて
そう、命令にした刻印…すべての人…いや、すべての生命がその刻印に命じられて生きている
そうね…その刻印には。ただこう刻まれている
幸福に生きよ!」

 いや~インパクト強いですね。幸福に生きよ!幸福に生きる、ではなく命令形。生きよ!シンプルでありながら力強さがあります。ただその中で人は死という絶望を見出してしまう。ただそれゆえ人々は祈る(意思)。この世界に祝福あれ、と。

素晴らしき日々

 Trueルートっぽい終わり方。皆守は由岐と別れ羽咲の手を掴み、運命を変える。論考では世界は器であるという。語りうるものは明晰に、っていうセリフからもわかるように世界はどうしようもなくて、価値なんて存在しないというヴィトゲンシュタインに対して意志で立ち向かったという感じでしょうか。木村との対話はよくわからなかったですねえ。自分は自分である(独我論)のでそこで完結していて存在証明などする必要もないって感じでしょうか。

向日葵の坂道

 由岐を選んだルート。こっちは割と論考によった考え方なのかな?って気がしました。運命をぶち壊すほどの意思はないにしても、世界という枠の中で幸福に対する意志をもって生きていけば僕たちは坂道を登っていくことができるよ、的な。

終ノ空

 今までのお話って結局何だったの?っていうルート。最後にこのルートが解放されることからも。これこそ一番論考の考え方に近くて、いろんな可能性(仮定)はあるけれども結局私たちが理解することはできないのでそんな世界への意思なんて捨てて生きていきなさいよ。という感じでしょうか。最後に美羽と彩名が会話するのは地味に驚きですね。ここは正直考察の置いて外せなさそうです。まあ論考で登ってきた梯子を下ろして生活に帰りなさい、という導きなのでしょうか。

Knockin on heveans door

 皆守と由岐のイチャラブ♡にしても二人ともめんどくさい!なんだこいつら!!このめんどくささはある意味すかぢ氏っぽい。サクラノ刻でのイチャラブシーンには期待してます。

 最後の二人の絵が最高でした。pianoVerの空気力学もさいつよ。

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これで心置きなくサクラノ刻を待てます。今年中に出るんだろうな~・

PS.理解参考にさせていただいた多数の考察サイトに感謝、感謝。