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【感想】JOKER観てきました【映画】

 そもそも主人公のジョーカーに触れる機会というと自分の中ではゲームのBatmanシリーズのみではあるのですが、その中で彼はまさに悪役!ってな風に目立ちに目立っていてヒールの代名詞ともいえるような印象は強く持っていました。

 そんな印象とは打って変わって今作の「JOKER」。まあ、重たかったですね。最初から最後まで重たかったです。ただそんな重くて暗い・・・だけの話じゃなくそんな中にも美しさであったり生き方の一つの形があったり・・・とにかく惹かれる話でした。

 

 そんなわけでJOKER感想。

 

 

 鬱だ暗いだ言われていますが、見終えた後にはそれだけの作品には感じませんでした。ただ暗いだけではなく重たいメッセージが込められてはいます。そしてまた爽快感も併せ持つ作品です。主人公は虐げられ痛めつけられ非難されるものの、最終的に最悪の形になったものの彼は彼自身のアイデンティティを取り戻したのです。物語のところどころで彼が踊るシーンがありました。初めて人を殺してしまった直後やタクシーの上で民衆を前にして踊った場面です。人を殺めてしまったという社会に押し付けられた最悪の結果(+盲信する民衆)と彼のただ踊りたいという純粋な願いの成就が美しく、儚く尊いものでありました。

 彼は言いました。「僕の人生は喜劇だ。」と。彼の人生は本来の目的であった人を笑わせるものではなく笑われるものでした。喜劇だ喜劇だとアーサーを追いつめる社会そのものが彼の人生を悲劇から最悪の形を持った喜劇に変えたのです。

 この映画は「誰もがジョーカーになりうる可能性」を提示したのではなく「誰もがジョーカーを作り出す可能性」を持っていることを示したかったのではないかとこれらのことから感じました。

 踊るシーンもよかったけれど最初無理に口角を上げて笑うシーンと最後の自らの血で顔に笑顔のメイクをするシーンが重なってたのが鳥肌でした。やっぱ映画って短いからああいった仕掛けが効きますね。

 

 人生バラ色で楽しいことだらけ!って人にはお勧めできませんが多かれ少なかれ暗い思いを抱えている人ならこの作品を楽しめることでしょう。主演の圧巻の演技や映像美、音楽十分に名作といえるレベルですから。